みなみまぐろ(Thunnus maccoyii)とは?
みなみまぐろ(SBT)は、高速で遊泳する大型の外洋性魚種です。みなみまぐろは、南半球全体に渡って生息しており、主に南緯30-50度の海域に分布していますが、東太平洋ではその生息は稀にしか確認されていません。唯一確認されている産卵場は、インドネシア、ジャワ南東沖のインド洋です。
みなみまぐろの寿命は40歳、その体重は200kg以上、体長は2m以上に達します。成熟時の体長及び年齢については不明な点があります。これは委員会メンバーの現在の研究課題となっています。利用可能なデータからは、成熟は体長約1.5m、8歳よりも若齢ではないことが分かっています。成熟したメスは、1回の産卵期に数百万個以上の卵を産卵します。
産卵は暖かいジャワの南方水域で9月から4月に行われます。若齢魚は、オーストラリア西海岸に沿って南に回遊します。夏季(12-4月)には、オーストラリアの南海岸の沿岸で表層近くに群れを成す傾向があり冬期はより深い温暖な外洋で過ごします。5歳以降は沿岸の表層にはめったに見られなくなります。
みなみまぐろは、一海域(ジャワ南方)で産卵しまた全ての年級群がその生息域で同様に見られることから単一産卵資源として管理されています。
みなみまぐろに関するその他の知見としては以下のようなものがあります。
- 平均時速2-3kmで 遊泳する。
- 3歳魚の平均成長は、月当たり1.5 cmである(魚は、1980年以前より成長が早くなってきている。)。
- 周辺の海水温よりも高い体温を保つ循環系を有しているため幅広い海水温に対し耐性を有する。
- 少なくとも500メーターまで潜水することが知られている。
みなみまぐろは非常に高価でその主要な市場は日本の刺身市場です。みなみまぐろは脂が乗っているためその高級品は高値で取引されています。みなみまぐろ漁業の総水揚げ高は約435億円と推定されます。
オーストラリア漁業による漁獲を除いて、みなみまぐろの主要漁法ははえ縄です。この漁法は、多数の鈎針を付けた長い幹縄を用いたものです。漁獲されたみなみまぐろは、主に超低温(-60C)で冷凍され日本以外の港で水揚げされてから日本に運ばれるか、又は日本市場に直接水揚げされています。
オーストラリアの漁業は、主にまき網漁法を用いています。これは、魚群を巻きとる網漁法です。しかしながら魚を水揚げするのではなく、捕獲された魚はオーストラリアの沿岸に曳航され海底に固定された蓄養生簀に移されます。その後数ヶ月間まぐろは蓄養され、冷凍又は生鮮品として日本市場に直接売却されます。