CCSBTは、遵守計画を採択しています。同計画は、CCSBT戦略計画を支持するとともに、CCSBT、メンバー及び協力的非加盟メンバーに対して、それらのCCSBT保存管理措置に対する遵守を向上させるとともに遵守リスクに対処するための枠組みを示すものです。遵守計画には2024年に合意された遵守行動計画(CAP)が含まれており、優先度が高いものとして特定された遵守リスクに対処するための具体的な行動事項が定められています。現行CAPは2025年から2029年までを計画期間としていますが、CAPは遵守委員会によって毎年レビュー及び更新が行われます。このため、CAPは、優先度を反映するとともに変化及び新たに発生したリスクに対応するべく随時改正及び更新される「生きた文書」となっています。
遵守政策ガイドライン
CCSBTは、以下に記載する4つの遵守政策ガイドラインを採択しています。
- CCSBTの義務を遂行するための最低履行要件(2024年10月更新)
- 是正措置政策(2024年10月更新)
- MCS に関する情報収集及び共有(2019年10月更新)
- 極めて特殊な状況に関する行動原則及び取られるべき措置に関するガイドライン(2020年10月採択)
非遵守に関する記録
全世界のみなみまぐろの総漁獲可能量にかかるメンバーへの国別配分量の非遵守事例、及び非遵守に対応してとられた是正措置に関する記録はここから参照可能です。
メンバーによるCCSBT保存管理措置の遵守状況の概要は、第19回遵守委員会会合報告書の中で確認することができます。
品質保証レビュー
今日まで、CCSBT品質保証レビュープログラムは、メンバーのCCSBTの義務に対する管理システムの機能がどの程度適切かをメンバーが確認することを支援するための全メンバーに対する独立レビューを提供するとともに、改善が必要な分野に関する勧告を行ってきたところです。また、QARでは以下のようなことも意図されています。
- レビューを受けたメンバーのモニタリング及び報告システムの完全性及び頑健性に関する信頼性を高めること
- 各メンバーの履行報告の品質にかかる全てのメンバー間の信頼を促進すること
- 責任ある地域漁業管理機関としてのCCSBTの信頼性及び国際的な評価を実例をもって示すこと
2013年から2021年までの間に実施されたQARは以下のとおりです。
年 | メンバー/CNM | Type of QAR |
2013 | オーストラリア、韓国、日本、ニュージーランド | 机上レビュー |
2014 | 漁業主体台湾 | 机上レビュー |
2014 | オーストラリア、インドネシア | 現地レビュー |
2015 | 日本 | 現地レビュー |
2016 | 韓国、ニュージーランド | 現地レビュー |
2017 | 漁業主体台湾 | 現地レビュー |
2018 | 南アフリカ | 現地レビュー |
2020-2021 | 欧州連合 | 机上レビュー |
今後は、改定されたCCSBT戦略計画に基づき、CCSBT委員会に新たに加盟した国及び/又は主体に対してQARが適用される予定です。また、QARは既存のメンバーに対しても実施される可能性がありますが、これは遵守委員会(CC)による助言に基づく拡大委員会(EC)による具体的な決定次第となります。
CC/ECは、インドネシアにおいて2023年11月1日から開始された2年間の試行的国内転載オブザーバープログラムに関して、インドネシアに対する既存メンバーQARを実施することに既に合意しています。このメンバーを特定したQARは、洋上転載トライアルを通じて実施されているCCSBT転載決議にかかる義務の遵守を確保するためのインドネシアの制度及びプロセスのパフォーマンスを独立的に評価することを目的としています。当該QARは2025年に実施され、その結果がCC 20に対して提示される予定となっています。
以下のセクションでは、CCSBTの個別のMCS措置について説明します。
許可船舶・蓄養場リスト
CCSBTには、以下に掲げる船舶や蓄養場が登録されています。
CCSBTのメンバー及び協力的非加盟国は、これらのリストに掲載されていない漁船によって漁獲されたSBT、蓄養場から収穫されたSBT、又は運搬船に転載されたSBTの水揚げ、輸入又は輸出を認めないこととしています。また、許可船舶決議には、漁船が以下の条件に合致する場合はIMOナンバーを取得させることとする関する要件が含まれています:
- 全長(LOA)12メートルを超える漁船であって、国家管轄外の水域での操業を許可されている漁船; 又は
- 操業する海域にかかわらず、総トン数(GT)100トン以上の漁船
漁船監視システム
CCSBT漁船監視システム(VMS)は、第15回委員会年次会合の直後の2008年 10月27日から施行しています。これにより、SBTを漁獲又は収獲する漁船を有するCCSBTのメンバー及び協力的非加盟国は、SBT漁業が行われるそれぞれの条約水域に応じてIOTC、WCPFC、CCAMLR及びICCATのVMSの要件に適合する衛星と連携したVMSを採用及び導入しなければなりません。IOTC、WCPFC、CCAMLR又はICCATの条約水域に含まれない排他的経済水域においてSBTを漁獲又は収獲する船舶に対しては、各メンバー/CNMそれぞれの国内法に基づいてVMSが運用されなければなりません。これらの水域外で漁業を行う際には、IOTCのVMSの要件に従う必要があります。
メンバー及びCNMによってSBTを含む洋上又は港内転載を実施することが許可された運搬船は、CCSBTにおける全ての決議及び決定に従って運用されている漁船監視システム(VMS)を稼働状態で搭載していることが義務付けられています。
CCSBT VMSの全体の詳細は、CCSBT漁船監視システム(VMS)に関する決議 において入手可能です。
漁獲証明制度
CCSBT漁獲証明制度(CDS)は、2010年1月1日から施行され、2000年6月から運用されていた統計証明書計画(貿易情報スキーム)と置き換わりました。このCDSでは、漁獲から国内又は輸出市場での最初の販売時点までの合法的な SBT製品の流通の追跡と確認を規定しています。CDSの一環として、転載され、国産品の水揚げとして水揚げされ、輸出され、輸入され、又は再輸出される丸のSBTには、各個体に固有標識番号が付された標識を装着しなければならず、またすべてのSBTの標識番号は(他の詳細情報と合わせて)漁獲標識様式に記録されます。SBTのすべての転載、国産品の水揚げ、輸入及び再輸出について、適切なCCSBT CDSの文書が添付されなければならず、それらは漁獲モニタリング様式及び場合によっては再輸出/国産品水揚げ後の輸出様式を含みます。同様に、SBTの蓄養場への移送又は蓄養場間の移送については、蓄養活け込み様式又は蓄養移送様式のどちらかを適宜作成することになります。発行及び受領したすべての文書の写しは、電子データーベースの作成、分析、食い違いの確認、調整及び報告のため、四半期ごとにCCSBT事務局に提出されなければなりません。集計されたCDSデータは、不調和の特定及び定期的な報告に資するよう、分析及び突合されます。
CCSBT CDSの全体の詳細は、CCSBT漁獲証明制度の実施に関する決議(2021年10月更新) において入手可能です。
大部分のメンバーは、CCSBT CDS 一元管理標識をSBTに装着しています。この標識はCCSBT事務局を通じて購入されており、各政府を通じて関連漁業者に配布されています。この標識の装着方法につきましては、以下のマニュアル(三カ国語)をご覧ください。
このほかに使用されている主な標識としては、オーストラリア及び韓国によって使用されているものがあります。このオーストラリアが使用している標識の装着方法は、以下のとおりです。
SBT 転載の監視
CCSBTの洋上転載のモニタリングに関する計画は、2009年4月1日から施行されました。同計画は、港内転載のモニタリングに関する要件を含める形で改正され、2015年1月1日から発効しています。さらに同決議は、他のまぐろ類RFMOにおいて既に導入されている措置との整合を図る形で決議を強化するための新たな要素を追加するとともに、インドネシアが同決議に掲載された木造運搬船を用いて実施するSBTを含む洋上転載を監視する際に同国の国内転載オブザーバーを利用できるようにするための2年間の試行的転載プログラムを実施可能とする形で、2023年に再度改正されました。
冷凍能力を備えるまぐろはえ縄漁船(以下「LSTLVs」という)からの洋上での転載には以下の要件があります。
- 運搬船は、LSTLVsから洋上でSBT の転載を受け取ることが許可されていなければならない。
- そのような転載が行われる際、運搬船にCCSBTオブザーバーが乗船していなければならない。
- 運搬船は、転載されたSBTを漁船別に分離して積載しなければならず、また魚倉内における漁船別のSBTの数量及び積載位置を示す積載計画を策定しなければならない。
- 運搬船及び漁船の両方に対する通知及び報告要件
このCCSBT転載計画は、同様な措置の重複を避けるため、ICCAT及びIOTCにおけるこれらの制度と調和させる形で運用しています。SBTを受け取ることを認められた転載船に乗船するICCAT又はIOTCのオブザーバーは、CCSBTの基準に合致していることを条件にCCSBTオブザーバーとして見なされます。
SBTの港内転載は、指定された外国の港において、許可された運搬船によって行われなければならず、かつ寄港国の当局に対する追加的な通知及び報告要件を満たす必要があります。
CCSBT転載計画の全体の詳細は、大型漁船の転載に対する計画創設に関する決議 (2017年10月更新)において入手可能です。
寄港国措置
CCSBTは、2015年10月に港内検査の最低基準を定めたCCSBT制度に関する決議を採択しました。決議は、2017年1月1日に発効し、直近では2018年10月に改正されました。本制度は、コンテナ船を除く運搬船を含む外国漁船に対して適用されるものです。
本制度の下で、SBT又はSBTに由来する水産物(それ以前に水揚げ又は港内転載が実施されていないもの)を保持する外国漁船/運搬船による自国の港への寄港を許可しようとするメンバーは、特に以下を実施するものとされています。
- 通知を受領するための連絡先を指定すること
- 外国漁船が入港を要請することができる港を指定すること
- 全ての指定港において、検査を実施するための十分な能力を確保すること
- 自国の港を陸揚げないし転載のために使用しようとしている外国漁船に対し、遅くとも72時間前までに、最低限の基準として定められた情報の提出を求めること
- 毎年、指定港において陸揚げ及び転載を行う外国漁船(SBTを積載する船舶)のうち、少なくとも5%について検査を実施すること
SBTに関する IUU漁業活動への関与が推測される船舶のリスト
CCSBTは、みなみまぐろに関する違法、無報告、無規制漁業活動への関与が推測される船舶のリストの設立に関する決議(2019年10月改正)を採択しています。
CCSBTは、毎年の年次会合において、条約及び実施中のCCSBTの措置の有効性を低下させるようなSBT漁業活動を行った船舶を特定する機会を設けています。CCSBT IUU船舶リストに船舶が掲載された場合、これらの船舶はこのウェブサイトに掲載され、適切な地域漁業機関に回章されることになります。現在、IATTC、ICCAT、IOTC、WCPFC、CCAMLR、SEAFO、SIOFA及びSPRFMOのIUU船舶リストに掲載された船舶をCCSBTのIUU船舶リストに相互掲載することが可能となっています。
CCSBT IUU船舶リストについては、ここから入手可能です。
市場モニタリング
CCSBTは、2024年10月に開催された年次会合において、日本市場及び世界市場におけるみなみまぐろ流通量に関する解析を実施し、当該市場解析の結果の概要をCCSBTウェブサイトの一般エリアを通じて公開することに合意しました。CCSBTが実施する市場解析には以下の事項が含まれます。
- 全世界におけるSBT流通量
- 日本市場におけるSBT流通量
- TAC、漁獲量及び流通量の比較検証の結果
2024年に実施した市場解析のサマリーについては、ここから入手可能です。