管理方式(MP)は、事前に合意した一連の規則であり、これによって、最新のモニタリングデータに基づき総漁獲可能量(TAC)の変更量を決定することが可能となります。CCSBTは、MPをみなみまぐろの全世界のTACを設定するプロセスの指針とさせるべく、2002年から2011年にかけて、MPを開発するための広範な作業を実施してきました。CCSBTは、SBT資源及び漁業をシミュレートするオペレーティングモデルを活用して、様々なMPの候補を試験しました。頑健なMPとするため、MPの候補に対しては、様々な不確実性に関する試験が行われました。2011年7月にMP(いわゆる「バリ方式」)がCCSBT科学委員会によって勧告されました。勧告された決定規則のパラメーターは、設定される資源再建のための計画期間、及びTACが更新される際に許容される最大TAC変更幅に応じて調整されることとなりました。拡大委員会に対して、様々なオプションが示されました。
「バリ方式」として知られるMPは、CCSBT科学委員会(SC)により2011年7月に勧告されました。バリ方式は、2012年から2020年までの漁期における全世界TACを設定するための指針として使用され、2010年には初期産卵親魚資源量の約5%であった資源を、2020年にはCCSBTの暫定再建目標であった約20%まで再建させました。
CCSBTは、2021年以降のTAC設定の指針となる新たなMPを開発しました。「ケープタウン方式」と命名された新たなMPは、新たなデータシリーズと新たな再建目標を取り入れたものとなっています。新たなデータシリーズは、若齢魚の航空目視調査による加入量モニタリングシリーズから遺伝子標識放流プログラムによる推定2歳魚資源量への変更、及び近縁遺伝子標識再捕から得られる推定産卵親魚資源量の取り入れで構成されています。ケープタウン方式は、2021年から2023年までの期間におけるSBTの全世界TACを勧告しました。同方式の主な管理パラメータは以下のとおりです。
- MPは、2035年までに初期産卵親魚資源量の30%の資源水準を達成する確率が50%となるようチューニングされる。
- またMPは、バリ方式における当初の目標、すなわち2035年までに70%の確率で初期産卵親魚資源量の20%とする暫定的な再建目標のリファレンス・ポイントまで資源を再建させるとの目標も達成するように設計される。
- 最小TAC変更幅は100トン(増加又は減少)。
- 最大TAC変更幅は3000トン(増加又は減少)。
- TACは3年間を対象として設定。
- 各3年間におけるTACの国別配分量は、全世界の総漁獲可能量の配分に関する決議 に基づき、振り分けられる。
ケープタウン方式の技術的な詳細は第25回科学委員会報告書別紙8のとおりです。当該仕様書は以下の項目で構成されており、一部は「専門的」ではない内容となっています。
- 緒言(専門的でない一般的内容)
- ケープタウン方式にかかる一般的説明(専門的でない一般的内容)
- MPで使用される個体群動態モデル及びハーベスト・コントロール・ルール(HCR)の仕様
- MPで使用される遺伝子標識放流資源量推定に関するデータ解析の仕様
- MPで使用される近縁遺伝子標識再捕データの仕様
- MPにおける標準化CPUEの仕様
- ケープタウン方式におけるメタルール(専門的でない一般的内容)